いよいよ卒業研究の指導が本格的に始まりました。現在、安藤研の4年生はこれまでゼミで指導してきた研究テーマの検討を整理し、卒業研究申請書を作成しています。提出は2012年6月1日(金)です。
さて、2012年5月23日のゼミでは、各個人の卒業研究申請書の下書きをチェックした後、論理的なプレゼンテーションや文章の書き方を理解するために、ミント・メソッドを中心にした、プレゼンテーション技法ワークショップを行いました。
プレゼンテーション技法といっても、ここで学ぶ方法は、コンサルタントなど論理を売り物にしている人たちの間で、グローバルスタンダードとなっている方法です。最近はやっている「プレゼンテーションZEN」は、プレゼンテーションを学ぶ前には、絶対に読んではいけない本だと指導しています。
なぜ、プレゼンテーションZENは読んではいけないか? それを理解するためには、プレゼンテーションの本質を理解する必要があります。
プレゼンテーションの本質は、プレゼンテーションを実際に行うことにはありません。プレゼンテーションの本質は、問題を分析し、解決策を考えることや、考えを構造化することにあります。考えを論理的に発表することは、プレゼンテーションのごく表面的な部分に過ぎません。
プレゼンテーションZENをやり玉に挙げて申し訳ないのですが、プレゼンテーションをしようと思ってこの本を手にとる人は、まず間違いなく、表面的なプレゼンテーションが大事だと思っていると思われるからです。
そういう人には、安藤研鬼の十則-その6「準備するから勝てる」の言葉を贈ります。
そんな時に手にとった本が、40年間負け知らずの法廷弁護士ゲーリー・スペンスの「議論に絶対負けない法」という本です。そのタイトルの怪しさにも関わらず私がその本を手にとったということからして、ずいぶん悩んでいたことがわかると思います。
私は必死に読みました。しかし、その本は300ページ超あるのですが、言いたいことはたった一言だけでした。曰く「準備するから勝てる」と。つまり、議論に勝つためにはどれだけ準備するかだ、というのです。あまりに拍子抜けする答えでしたが、それがどれだけ重要かをまざまざと書かれていました。
そう。当たり前のことですが、準備をどれだけするか、どれだけ必死でやるかこそ、プレゼンに勝つための方法なのです。
私自身は、その後、プレゼンテーションが格段にうまくなりましたw。聞き手のことを考えて、準備をしたからです。王道はありません。逆に、準備が大事と思うだけで、うまくなるのがプレゼンテーションでもあるのです。だから、プレゼンを重視する安藤研では、鬼の十則としてこの言葉(エピソード)が含まれているのです。
とはいっても、気合いだけではどうにもならないのが、プレゼンでもあります。どうすれば説得力のあるプレゼンができるか。鬼の十則にもあるように、大前提として、聞き手の立場を考えてプレゼンテーションを準備することなのですが、方法論もやはりあります。それがミント・メソッドとトピックセンテンス・メソッドです。
ミント・メソッドは、バーバラ・ミントの名著「考える技術・書く技術」をぜひ読んでもらいたいところです。最近はワークブックも出たようです。
非常に簡単です。ピラミッドストラクチャーと呼ばれる、論理構造を描いてプレゼンすべきことを予め考えを練ることです。
細かい話まで、ここでお話できませんが、デザインにおいて当たり前の“ラフをつくる”を、プレゼンテーションでもちゃんとやる、ということと言っても過言ではありません。
本日のワークショップでは、ピラミッドストラクチャーを作るワークショップとして、ジャパネットたかたの映像を見て、そこで取り上げられている情報を整理してピラミッドストラクチャーにまとめ直す、というワークを行いました。
ただ、ジャパネットたかたの高田社長のプレゼンがうまいということを言いたいのではないです。確かに、学ぶべき点は多くてそれはそれで面白いと思います。ここでは、むしろ高田社長が経験的にやっているプレゼンを、改めてミント・メソッドで整理して、魅力的なプレゼンにする、ということがポイントなわけです。
次に、世の中ではあまり知られていないのですが、プレゼンのスライドを構成する技法として、トピックセンテンスメソッドを解説しました。これはコンサルタントがよく用いる方法で、ミント・メソッドと組み合わせて使うものです。
いまから思うとこの手法は、オンスクリーンでのプレゼンテーションが主流になる前、つまり紙やOHPで行うプレゼンが主流だったころの方法で、必ずしもかっこいいものではありません。しかし、この方法を学んだ上で、その上でプレゼンテーションZENでも、高橋メソッドでもなんでもいいのですが、応用すべきだと思っています。
私が作るプレゼンテーションはすべて、基本的にはトピックセンテンスメソッドに従っています。私としては、カッコよく話すことよりも、聞き手にメリットを感じてもらうためのプレゼンをモットーとしていますので、どうしてもトピックセンテンスメソッドの方が最適だと思っています。
以上、ゼミで行ったワークショップの報告と併せて、安藤研鬼の十則-その6の解説と、プレゼンテーションの技法の一部について書きました。
今後も、安藤研ワークショップでは、卒業研究に関連しないものでも、いろいろな観点から取り組んで行きたいと思います。
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