さて、11月24日(木)は、ほぼ1カ月ぶりに全体ゼミを行いました。
ゼミでは「クリーン(きれい)にする」というテーマで、情報デザイン的アプローチによるデザイン開発のプロセスを全員でワークショップ形式で実施しています。実は、安藤研1期生13名のうち、情報デザインコースはわずか2名。ほとんどがプロダクトデザインコースの学生のため、情報デザインのアプローチの様々な方法論や言葉が共有されていないんですね。そこで、まずは基本を押さえましょう、ということで、全体ゼミの時間を1時間ほど使って順次実施しています。
フォトエッセイ
これまで、フォトエッセイおよびフォトエッセイを使ったインタビューを行いました。フォトエッセイとは、もともとはデザイナー自身に内省を促し、気づきを得る方法として発達しました。最近僕は、フォトエッセイをユーザー調査の時に実施し、インタビューの材料として利用しています。こうすることで、インタビューが得意でない人でも、ユーザーから深いレベルの意識を把握することができるようになります。
フォトエッセイにもいろんな作り方がありますが、以下は代表的な作成法です。僕が最近お勧めしているのは、テーマについてAタイプ、Bタイプ2つのエッセイを書いてもらう方法です。Aタイプは、現在実施していることについて、Bタイプは、やりたくてもできていないことについてエッセイを書いてもらいます。この2つを作ってもらうと、実はとても近接していたりして、なかなか深いなーと気付かされると思います。
ちなみに、「クリーンにする」というテーマで作成した、安藤研のある学生さんのフォトエッセイです。
タイプA:
タイプB:
いかがでしょう? タイプA(今やっていること)を観ると、本棚がきれいに整っており、こだわりを持っていることもエッセイから読みとれます。これだけを観ると、すごくきれい好き、整理好きという印象があります。
一方タイプB(やりたくてもできてないこと)を観てみましょう。どうでしょう。実際には机はごちゃごちゃ。本も床に平積みです。本そのものへのこだわりは読みとれますが、どうにも整理がついてないようです。エッセイを読むと、「学校の課題はパソコンでできる」→だから「リビングでもできる」→だから「机の上は掃除しなくていい」という、典型的な認知的不協和の状態が述べられています。
タイプAとタイプBが同一人物とは思えないようなフォトエッセイですね。でも、これこそ現実のユーザーだと思います。どうしても現場に入り込めなくても、事前にお願いしておくことで、ここまで情報をとることができるわけです。さらに、フォトエッセイをみながらインタビューをしてみましょう。さらにいろんな情報が得られるはずです。
フォトエッセイにもいろんな作り方がありますが、以下は代表的な作成法です。僕が最近お勧めしているのは、テーマについてAタイプ、Bタイプ2つのエッセイを書いてもらう方法です。Aタイプは、現在実施していることについて、Bタイプは、やりたくてもできていないことについてエッセイを書いてもらいます。この2つを作ってもらうと、実はとても近接していたりして、なかなか深いなーと気付かされると思います。
ちなみに、「クリーンにする」というテーマで作成した、安藤研のある学生さんのフォトエッセイです。
タイプA:
タイプB:
いかがでしょう? タイプA(今やっていること)を観ると、本棚がきれいに整っており、こだわりを持っていることもエッセイから読みとれます。これだけを観ると、すごくきれい好き、整理好きという印象があります。
一方タイプB(やりたくてもできてないこと)を観てみましょう。どうでしょう。実際には机はごちゃごちゃ。本も床に平積みです。本そのものへのこだわりは読みとれますが、どうにも整理がついてないようです。エッセイを読むと、「学校の課題はパソコンでできる」→だから「リビングでもできる」→だから「机の上は掃除しなくていい」という、典型的な認知的不協和の状態が述べられています。
タイプAとタイプBが同一人物とは思えないようなフォトエッセイですね。でも、これこそ現実のユーザーだと思います。どうしても現場に入り込めなくても、事前にお願いしておくことで、ここまで情報をとることができるわけです。さらに、フォトエッセイをみながらインタビューをしてみましょう。さらにいろんな情報が得られるはずです。
KA法
KA法は、紀文食品の浅田和実氏が食品の新商品開発のために開発した、定性情報分析法です。出典は、「図解でわかる商品開発マーケティング」日本能率協会マネジメントセンター (2006)です。すごくシンプルな方法なので、ぜひ読んでみてください。
僕はこのKA法と、社会学の分野で行われている定性研究法であるグラウンデッド・セオリー・アプローチとの共通点を見出し、デザインの分野でも活用しやすい方法に多少モディファイし、ワークショップなどで普及を進めています。この方法の特徴は、初心者でも扱いやすく、初心者がこの方法を覚えると、フィールド調査でのものの見方や発言の捉え方への感度が高まる効果も期待できるからです。
最近では、いろんなところでKA法ワークショップを実施していますので、徐々に取り組んでいただく方が増えています。例えば、hcdvalueのみなさんは、携帯アプリのアイディア発想のために用いたりしておられます(hokorinさんのブログよりその1、その2、その3、その4)。また、サイバーエージェントさんの勉強会でも試していただいています。hcdvalueのchachakiさんは、KA-itまで独自に作られたり。私自身は、オリジナルのKA法をフォトエッセイと観察技法と融合させたワークショップをデザイナーさん向けに実施しています。
KA法の概要は以下のとおりですが、詳細はまた機会をみてこのブログでも紹介したいと思います。
最近では、いろんなところでKA法ワークショップを実施していますので、徐々に取り組んでいただく方が増えています。例えば、hcdvalueのみなさんは、携帯アプリのアイディア発想のために用いたりしておられます(hokorinさんのブログよりその1、その2、その3、その4)。また、サイバーエージェントさんの勉強会でも試していただいています。hcdvalueのchachakiさんは、KA-itまで独自に作られたり。私自身は、オリジナルのKA法をフォトエッセイと観察技法と融合させたワークショップをデザイナーさん向けに実施しています。
KA法の概要は以下のとおりですが、詳細はまた機会をみてこのブログでも紹介したいと思います。
24日のゼミでは参加人数も少なかったので、全員でまずKAカードを作りました。インタビューで気になったユーザーの行動を「出来事」として抜き出します。
そこから、「ユーザーの心の声」を出します。さらに、「価値」を導出します。
とりあえず、全KAカードをはったところです。この後、いわゆるKJ法(親和図法)で分類を行います。
徐々にグループができていってますね。安藤研の学生は、だいぶ慣れてきたようです。普通にやれるようになるといいですね。
お! 一応完成!! やっているうちに、どんどん理解が深まっていき「こういうことじゃねー」という声が出ていました。そういうことです。行為に潜む価値を解釈できればそれでOKなんですね。ポイントは、全体像を観えるようにすること。
マップをリライトしてもらいました。本当は中分類にも「~する価値」と付けてほしかったんですが、まあいいでしょう。基本はポジティブに価値を書いて、できていないものには「未充足マーク」をつけます。今回はすごいグッドストーリーが紡ぎだされましたね。でもよく見ると、最初の「心おきなく捨てられる価値」がほとんど未充足で、結局出だしでほとんど引っかかっていることがわかります。
うまくいく体験がKA法でモデル化できましたので、これをベースに再度フォトエッセイの写真と照らし合わせて考察したりすると、さらに理解が深まります。
ちなみに、KA法は現実の行為に潜む価値が導出されるので、ある程度普遍性はありますが、あくまで現在の行為に関する価値が出てきます。ですので、私がよく「あるある、そうそう、ヘー」という3種類が出やすいです。
“あるある”は、言語化はできないまでもほとんどの人が感じている価値。押さえておくべきことですね。
“そうそう”は、言語化できていないことが多いが、個人差や頻度のばらつき、あるいはコンテキスト依存のため普段は意識しないが共感できる価値。共感度はこの“そうそう”が一番強いかもしれません。
“ヘー”は、これまで気づいていなかったもので、個人差や文化差によるものかもしれませんが、確かに存在する価値です。この“ヘー”が見つかると大きな発見ですが、別にこのヘーが出なくても十分新しアイディア発想にはつながります。
ということで、今回はKA法をやりました。
次回は、構造化シナリオ法に取り組みます。
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