こんにちは、シツチョーです。
安藤研では企業の方とのワークショップをご要望があれば行っています。学生も一緒に参加させていただくことで、社会勉強の機会とさせていただいております。
2011年12月1日に、富士フイルムデザインセンター様において、「エスノグラフィック・デザインアプローチ(分析編)」のワークショップをやらせていただきました。このワークショップは、エスノグラフィックなリサーチの結果として得られた写真や発話データを用いて、ユーザーの生活における価値モデルを構築する分析法を体験するものです。安藤研が開発を続けているKA法のワークショップです。
今回は分析方法に着眼した2時間のワークショップのため、データは各自テーマに沿って撮影した2枚の写真だけということで行いました。すごく簡易なフォトエッセイですね。
テーマは、「健康を気遣う」です。富士フイルムは、事業ドメインをどんどん変化させ常に新しい事業領域にチャレンジし続けている企業です。もともと医療機器分野のシェアも大きいのですが、最近ではCMでもおなじみの化粧品やサプリメントなどの事業も大きく育ってきています(富士フイルム社のサイト参照)。ですので、人々の“健康を気遣う”行為は何より重要だと考えたためです。
はじめに、エスノグラフィック・デザインアプローチの説明をした後、KA法の分析練習を行い、その後1時間かけて皆さんが撮影してきた写真を分析してもらいました。なお、分析は自分の写真を分析するのではなく、他の方の写真を分析してもらいました。
さすがデザイナーのみなさん。飲み込みが早く、2時間のワークショップなのに、各チーム簡単なマップまで完成させることが出来ました。
ちなみにこちらは、学生チーム。何せ枚数が少ないので、ごく限定的な結果ですが学生らしい結果になったと思います。
やはり写真があると、ユーザーのコンテキストがよくわかりますね。
現在、このワークショップで得られた分析結果をすべて集約し、それを全体の価値マップにする作業を安藤研で進めています。
結構枚数があるので、大きなマップになってます。分析の過程で面白かった点をいくつか。
大きな分類として“わかっちゃいるけど、やめられない”という系統のグループがあがりました。「誘惑に負けずに健康的な生活を続ける価値(未)」といった未充足の価値には、ラーメンだのアイスクリームだのお酒だのの食品の写真がたくさん集まっていました。でも、ここにはたばこが入ってない。たばこは「健康によくないことをやめる価値(未)」というような価値になっていて、明らかに違うものでした。同じように“わかっちゃいるけどやめられない”といっても、だいぶ違うわけです。
重要な発見だったのは、健康を気遣うという行為は、家族やペットなどパートナーの存在に重要な価値があるというものです。家族のためにとか家族やペットと一緒にとか。なるほどですね。確かにあります。こういう価値があることを早い段階から発見しておくと、より柔軟なアイディア発想につながると思います。
全体として、仕事で忙しいビジネスパーソンがサンプルになっていることを反映し、「健康を気遣う」というテーマなのに、食や運動といった直接的な健康維持は当然なのですが、ストレスを発散するとか体を休める、リフレッシュするという、どちらかというと精神的な健康に関する行為もたくさん出ていたことが特徴だったと思います。忙しいビジネスパーソンにとって、健康維持の前にリフレッシュの方が課題なのだなと思いました。
今回の機会をご提供いただき、ブログでの公開もご快諾いただきました富士フイルムデザインセンターの皆様に心から感謝申し上げます。ありがとうございました。
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