PDCAワークショップを作りました

こんにちは。安藤です。

春爛漫ですね。2017年度もいよいよ始まりました。私が所属している先進工学部知能メディア工学科では、「プロジェクト科目群」と呼ばれる、PBL形式の演習が1年生から継続的に計画されております。このプロジェクト科目群は、本学科が目指す「総合的な企画力・開発力」を養成することを目的とした科目で、本学科の特徴的なカリキュラムです。

1年次では、「知能メディア体験演習」という科目で、知能メディア工学科を構成する3つの領域である、メディア工学、知識工学、情報デザインの基礎的な内容を体験的に理解する内容です。2年次には、「知能メディアプロジェクト1」及び「知能メディアプロジェクト2」というプロジェクト科目が用意されています。

知能メディアプロジェクト1では、開発力の基礎となるPDCAを学び、与えられた課題を達成するソフトウェアを、5人程度のグループで開発していきます。

私はこの科目の科目責任者ですが、PDCAを学ぶワークショップを開発し実践したところ、なかなか良い評価を得たので、少しだけ紹介します。

追記:このワークショップについて、少し古めかしいイメージをお持ちの方もおられるようです。しかし、私はここからPDCAを始めることが重要だと思います。そもそも、PDCAは生産性を軸にしたマネジメントをするために生まれたものだからです。もちろん、現代に合わせて、新しいことを教えることも重要でしょう。しかし、どんどん新しい分野が広がっているからこそ、どこを基礎に置くべきかを見極めることが、教員には求められていると思います。学生の理解を構築することが教育だとすると、基盤とすべき事柄をより戦略的に過去から選び出すこ能力が大切だと思っています。



ワークショップの目的

  • 生産プロセスという、複雑で具体的な課題に対して、PDCAサイクルを実際に回すことを、チームで体験する。
    • 実際の問題を扱うことで、PDCAサイクルを実践する際の困難さや課題、留意点などを発見的に理解する。
    • PDCAサイクルによって、目標に接近できることを理解する。
    • チーム間のコミュニケーションの取り方を互いに留意し、これから行う演習でのコミュニケーションの方法について、相互の了解を得られるようにする。

ワークショップの概要

名刺サイズのカード(A4サイズ1枚あたり10枚のカード)に、丸い色シールを貼って柄を作るワーク。各グループを5名の社員の「工場」と見立てて、生産プロセスを作り上げてカードの生産を行います。目標は、生産指示書に記載された図面通りに「正確に」、そして「時間内(より短時間で)」生産することです。

生産指示書

条件

  • シールの色は、必ず指示書通りでなければならない
  • シールの各円の中心から、1mmの誤差の範囲を合格とする(品質点検シートの破線内なら合格)
  • 作業手順に指定はない
  • 中心のシールはネジ柄のシールであればどれを用いても構わない
  • 自分のノートやメモ帳を作業の記録等のために使っても良い
  • 定規以外の文房具は個人のものを使用しても良い
  • 本生産用材料への補助線の書き込みは鉛筆であればして良い

やってはいけないこと

  • 生産時間外に本生産用材料を加工しないこと
    • 補助線を記入することも生産時間内に行うこと
    • カードをバラバラに分割するのも時間内に行うこと(半分に分割することまでは許可)

やっても良いこと

  • 準備用材料を使って、本生産で使用する道具などを作っても良い
    • オリジナルに型などを準備用材料を使って作成しても良い。なお、配布したもの以外の材料を使ってはいけない
品質点検シートは、透明シートでできており許容される誤差がすぐに判定できる


ワークシート

PDCA計画シート

品質点検者だけが、品質点検を行うことができます

作業工程振り返りシート

ちょっとこのシートは生産性の計算が間違っていて直さないといけないですが、ご参考まで。

学生の感想

これらを使って実際に生産プロセスを組み立ててもらい、PDCAを回してもらいます。
学生からはこんな感想がもらえました。

自分の発想の外にあるものが良いものがあったにもかかわらず、周囲が見えておらず、気付くことができなかった。周囲の声を聞いていた人のおかげで、2回目に急激に効率が良くなったことがわかった。
PDCAのCとAの確認ができた。
実際に生産性が上がったことでより実感した。 
1回目の生産が終わったあとに、生産方法の良い点、悪い点をグループ内で見直すことで、2回目の生産性を向上することができたので、改めてCheckの大事さを学べた。
今後さらに改善を重ね、より実施しやすい方法へと高めていきたいと思います。



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