第3回 ex-labのご報告

こんにちは、代表の安藤です。梅雨と言ってもほとんど雨が降らず、通勤通学はありがたいですが、水不足や農作物の生育が心配ですね。

さて、報告がおくれましたが2013年5月31日(金)に、第3回 ex-labを開催しました。
今回も16名の方に参加頂きました。

今回とてもうれしかったこと2つ。

なんと! このブログを読んで飛び込みで都内の企業のコンサルタントの方がご参加されました。いやはや、まだ3回しかやっていませんが、やってみるもんだなと思います。今後も続けていきますし、もちろん飛び込みも歓迎ですので、ぜひお越し下さい。

それから、地元企業でUX部門の強化に取り組んでおられるJFEシステムズ(株)さんから3名の方が、ご参加されました。こちらも地元のご縁ということで。地元といえば、千葉大学デザイン学科の院生の方にも継続的に参加頂いています。みなさま今後ともよろしくお願いいたします。

当面会場問題が解決しませんので、前期は津田沼開催ということで決めました。ご了承下さい。

さて、実施内容を報告します。



今回の発表は、宮川君で「直観的インタフェースとは?」という内容です。事前に読んできていただいた直観的UIに関する論文は、決してローカルなものではなく、それなりに引用されているものです。しかし、その内容は、参加された小山さんの言葉を借りれば、「ユーザビリティ頑張る」ということ。例えば、ゲシュタルトの法則を使うや、なじみのあるアイコンを使うや、フィードバックを的確に返す、自己記述性、そしてアフォーダンスを考慮する。聞きなれたものばかりで、わかりやすいインタフェースづくりにはなるが、それが本当に直観的インタフェースをデザインできるのか、気になります。

2つの論文に共通する点として、「直観」と「直観的インタラクション」を分ける整理しています。研究としては当たり前のことですが、それぞれ分けて考えることは重要です。その上で、直観的インタラクションを研究領域にしているわけです。

Blackler et al., 2009は、直観の特徴として以下のように整理しています。

●“直観”の特徴

  • ・直観は超自然的なインスピレーション、魔法のような第六感ではなく経験に基づくこと。
  • ・道具や加工品及び生活の経験は直観に利用することができ、情報の蓄積に寄与する。
  • ・直観は一般的に無意識で、想起する必要はなく意識的な知識は気づかれず知覚でき、長期記憶に格納されず処理され応答できる。
  • ・効率的であるため直観は、意識的な認知処理の形式より早い。
  • ・直観は先行経験(格納された経験上の知識)によって獲得された知識を利用する一種の認知処理である。
  • ・直観的プロセスは多くの場合、早く無意識的であり少なくとも言語化及び思い出されることはない。
要するに、日常的に言われる“直観”は、始めてみてもすぐに使える、わかるというような意味で使われていります。しかし、学術的には、本当に初めてということはなく、過去に経験したことに過ぎないわけです。


これに対し、宮川君は学部時代からマルチタッチインタフェースの動き(フィードバックやジェスチャー)に着目し、それがいわゆる直観的インタラクションに貢献していることを解明しようと努力してきました。これまでの研究の詳細は、HCD研究発表会での予稿集をご参考に。

まとめると、直観的インタフェースの研究は、思いのほか進んでいません。しかし、宮川君や次に宮川君がクリティークで取り上げる、KAISTの動きの研究では、“動き”という要素を扱おうとしています。私自身、UIで表現される動きが、非常に重要な手掛かりになっていると考えています。

今回のex-labでは、宮川君の研究計画についても発表してもらい、悩んでいる宮川君のために皆でミニワークショップをすることになりました。

ミニマムな体験収集のためのワークショップです。


ご参加いただいたみんなでやってみます。

書く。簡単な動きのスケッチも書く

書いてもらったポストイットを壁に貼り、、、

宮川君を筆頭に、千葉大デザインの3名の院生と、安藤研の院生3名が共同で分類。
その間、他の参加者はビールを飲みながら議論。

こんな感じですね。

短時間だったので、結論的な何かを得るものではなかったのですが、たくさん得られた体験は、いくつかのよりミニマムな体験により合成されたものもあり、この先の研究の示唆が得られたようです。

今回は、ミニワークショップがあったりとかなり時間がかかってしまいましたが、とても身のある議論ができたと思います。

宮川君の研究の進展に、今後も期待したいと思います。


0 件のコメント :

コメントを投稿